サンタと財政破綻について。
どうも。スモーキーコレナガです。
朝晩が冷え込み、寒さに身体も心も震える中、皆様いかがお過ごしでしょうか??
そういえば10月になったって知ってました??
コレナガは2015年が残り3ヶ月だという現実に、軽く震えてます。
我が家の娘様は、今からサンタさんへお願いするプレゼントを日々相談してきます。
中々ヘビーなプレゼントを相談してくるので、サンタさんが破産したことにしたいんですがダメでしょうか?
もしくは、サンタさんの国が財政破綻で株価が暴落しててプレゼントどころじゃないとか。
世界中から、大人気のサンタ業界。
子供たちからは、常に熱い視線を送られ、夢を与え続けるそんな存在。
日々の労働さえも子供たちの笑顔のためなら、なんてことないなんていう真面目なサンタばかりだともっぱらの噂だ。
サンタになりたいと、めっちゃハードな試験を受けて晴れて公認サンタになった少年。
よし、今日から僕もサンタとして子供たちに夢を与え続けるぞ・・・!!
そんな中、突然発表された財政破綻。。
少年の就職先として決まっていた、「ドリームサンタ」からは、
『申し訳ないが、今回の採用はなかったことにしてくれ。』
という電話一本だった。
明日への希望が、不安に変わった瞬間だった。
引っ越したばかりのワンルームの部屋で一人立ちすくむことしか出来なかった。
田舎出身の少年は、なけなしのお金を使ってサンタの国へ引っ越してきたばかりだった。
早く自立して両親を安心させたい。
でも夢は叶えたい・・・!!
同級生が公務員試験を受ける中、彼は一人サンタ公認試験を受けた。
『いまどきサンタとかマジうけww』
こんな声も彼には関係なかった。
そして、夢を掴んだ瞬間。
初めて嬉しさで震えた感覚は今でも忘れられない。
そんな中での財政破綻。
受け入れたくなかった。でも、受け入れるしかなかった。
「とりあえず、ご飯でも買いに行こう。。」
こんな時でも、お腹はすくもんなんだなと不思議なんだか情けないんだか、よくわからない感情が押し寄せてきた。
いつも行く近くのコンビニ。
そういえば、お金おろさないと財布にお金入ってなかったな。
「あれ??なんで、おろせないんだ。。」
いつも通りATMでお金をおろそうとしたが、エラーが出てお金がおろせない。
不思議に思い、近くの銀行へ行ったところ見たこともないような人だかりだった。
みんな、怒声にも近い声で叫んでいる。
中には、道端で泣き崩れる人も。
初めて見る光景に、いてもたってもいられなくなった少年はただただその場を離れることしか出来なかった。
「どうして、こんなことに。昨日まで、みんな笑顔だった。
この町は幸せしか存在しないはずじゃなかったのか。
だって、ここサンタの国は夢の国じゃないか。。」
気付くと頬に冷たい滴が流れていた。
サンタの国。
ここは、夢の国。
しかし、ここ数年資金ぶりに苦労していたのはごく一部の人間しか知られていなかった。
それもそのはずだ。
世界中の子供たちへのプレゼントを作るための資金。
これは、世界中からの寄付で成り立っていたのが現状だ。
しかし、ここ数年。
サンタを信じない子供たちが増え、その子供たちが大人になり、年々寄付は減っていっていた。
しかし、子供たちの求めるプレゼントは、ゲーム、スマホ、パソコンと年々高価なものへと変化していた。
より技術が必要になったプレゼントは、お金だけでなく時間もかかるものが多かった。
毎日のサービス残業は当たり前。
そこにはポストカードで見るようなふくよかなサンタではなく、やせ細った無精ひげのサンタの姿。
そんな中でも、
『子供たちに夢を。。』
そう言って、世界中の子供たちへのプレゼントを作り続けたサンタ。そして小人たち。
全盛期の頃に比べると給料は半分以下に減っていた。
しかし、どんなに頑張っても現実は現実。
寄付が減っているのに、より高価なプレゼントを作り続けるということに現実は追いつくことはなかった。
そして、隠し続けるのにも限界がきた。
そうしておこった財政破綻。
もしかすると、おこるべくしておこったのかもしれない。
少年は、ワンルームの部屋で古びた絵本を眺めながら、幼き日のことを一人思い出していた。
貧しい家で育った少年は、お正月も夏休みもそして自分の誕生日でさえ、いつもと変わらない日常を送っていた。
しかし、そんな彼にとって唯一の楽しみ。
それが、クリスマスだった。
一年に一度だけ、自分が欲しいものがプレゼントしてもらえる特別な日。
ある年のクリスマス。
ガサゴゾ・・・・。
「・・サンタさん!!!????」
少年は物音にとっさに起きてしまった。
目の前には、ふくよかな恰好の立派な白ひげを生やしたサンタさんがいた。
『ふぉっふぉっ。これは二人だけの秘密じゃぞ。
さぁ、プレゼントをどうぞ。』
そう言って手渡されたプレゼントは、彼がずっと欲しがっていた一冊の絵本だった。
「サンタさん・・!!ありがとう!!!!」
ぽたっ。。
古びた絵本に、少年が流した涙がにじむ。
「なんだか、今日は涙もろいや。」
ふと絵本を見ると、そこには笑顔でほほえむあの日見たサンタにそっくりなサンタの絵が描かれていた。
「・・そうだよ。まだ終わっていない。
だって、僕はサンタなんだから・・・!!?」
そう言って、とっさに部屋を飛び出した。
向かった先は、先ほどの人で溢れかえる銀行前。
「みんな!!!!!
聞いて下さい!!!!」
今まで出したことがないほどの声で叫んだ。
その声に、人々は少年のほうに一斉に振り向いた。
その表情に一瞬ひるみそうになったが、グッとこぶしを握り締め続けた。
「お願いします!!!!
もうこんなことはやめて下さい!!!!!」
『何言ってるんだ!!!
この状況が分かってるのか??』
『そうだ!そうだ!!!!』
一斉に罵声を浴びる少年。
「分かってます。
でも、でも・・・・
こんなの夢の国じゃないよ!!!
だって、
僕たちはサンタじゃないですか・・・!!!!
こんなことしてる暇なんてないはずでしょう?
クリスマスまで後3ヶ月しかないんだから!!」
その声に、先ほどまで眉間にしわを寄せていた人々の顔が一斉に緩んだ。
そう、彼たちもまた少年と同じようにサンタを夢見てサンタになった人達ばかりだった。
そして、また同じようにサンタを夢見ている少年が世界中に存在するのも確か。
サンタを信じない子どもが増えたのも現実。
しかし、少年のようにサンタのことを信じ一年に一度のプレゼントを待っている子供たちが世界中にいるのも現実。
「まずはやれることからやりましょう・・・!!
難しいかもしれない。。
でも、僕たちはサンタなんだから!
遠い昔から夢を与え続けてきた存在。
僕たちサンタを信じてくれる子ども達がいる限り、僕たちサンタは夢を与え続けなければ・・・!」
そう言って、力強く叫ぶ少年は一回りも二回りも大きくなったように見えた。
あれ?私、なんの話してたんだっけ・・・。
ま、いっか。
今年のクリスマスもサンタさんが来るのが楽しみなコレナガ一家が現場からお伝えしました。